4 May 2012

性別


ご存知の方も多いと思うが、インドでは出生前の性別診断は違法。女の子は結婚の際に持参金等でお金がかかるなどの理由であまり好まれず、堕胎してしまう人がいるためである。

わたしたちは健康であればそれでいいという考えで、しかも夫婦共に、生まれてくる子は女の子だと確信していた。なぜと言われても答えられないのだが、99%そう思っていた。

8ヶ月も終わりの頃、担当医に性別を教えて欲しいと頼んだ。わたしは外国人なのでインドの男の子偏重主義の考えはない夫もインド人だが男女のこだわりはないと話し、さらに夫は、性別が分かればちゃんと買い物ができるしとまで言ったのだが、担当医は「シンガポールあたりに飛んで調べてくるしかないわね」と笑い、それでも食い下がる夫に「行過ぎです、法律違反はできません」とぴしゃり。

9ヶ月に入ってエコーがあったが、前にも書いたが、性別がわからないような角度しか見せてくれないので、何が何だか・・・というものであった。画像をもらったが、その日以来一度も見ていない。エコーのときにちらっと男の子の印が見えちゃった、という話を何度か聞いたが、わたしのエコー担当技師に限っては、そういうスキは全くなかった。

このエコーの時、同席していた夫が、「洋服はピンクですか、青ですか」と聞いたのだが、技師は「さぁ~」と微笑むばかり。「黄色を買えってことですか」とわたしが言っても微笑むだけであった。

夫はまた、「ちゃんとした、無駄のない買い物がしたいんですよ」と訴えた(どんだけ大事なんだ、買い物)


わたしが「9ヶ月なんですから、もう何もできませんし」と言った時。

それまで微笑んでいた技師の表情がすっと無表情になり、
画面から視線をこちらに向け一言、


「(堕胎)する人はします」



室内、一瞬静寂に包まれました・・・。








2 comments:

  1. まさき10 May, 2012

    この発言、

    「(堕胎)する人はします」

    先週テレビ放映された話題のAamir Khan司会番組『Satyamev Jayate』を見た後だと、物凄くよくわかります。

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    1. まさきさん、

      わたしも見ました、あの番組。

      都市部でも多い、というようなことを言っていた(と思う)ので、この技師が厳しかったのも納得です。でも、ひょっとしたら、もっとプッシュしたら、それとなく教えてくれたのだろうか、とも思ったり。

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